トレーニング室・ジム
トレーニング室・ジムでは、リハビリやそれぞれの目的に応じたトレーニングをします。ゆっくりとしたペースの人もいれば、競技レベルをアップさせることを目的とした人など様々です。
障害別対応のポイント
視覚障害者の場合:
「施設を案内し、状況を確認してもらいましょう」
- 初めに器具などの配置を一通り案内してください。器具の使用方法が説明しにくい場合には、実際のフォームを示し、それを触ってもらうとイメージしやすくなります。
- 床に動線がわかるようにテープを貼る、器具のスペースと通路を色分けする、器具と通路の素材を変えるなどの工夫があると、器具の位置を理解できるので使用しやすくなります。
- 器具自体にも緩衝剤を付けておくと、ぶつかったときに衝撃を緩和できて安心です。
視覚障害とスポーツ

器具のエリアをテープで囲い、各マシンの入口部分にも目印を付けている。
聴覚障害者の場合:
「ルールや使用方法など情報伝達が大切です」
- 道具の説明や使用に関するルールを、わかりやすく伝えましょう。
- スタッフから利用者本人に何かを伝えたい場合、手話ができない場合でも、口話、筆談などで伝えることが可能です。筆談ができる用具を、施設内に準備しておくと便利です。
聴覚障害とスポーツ
肢体不自由者の場合:
「器具の使用や動きの工夫をしてみましょう」
- 置いてある器具が利用できるか、利用者本人と一緒に考えてみましょう。動ける範囲などもそれぞれ違いますので、工夫すると良いでしょう。
- 車いす使用者の場合でも、器具への乗り移りができるようであれば問題ありません。
- 器具の使用が難しい場合には、同様のトレーニングや同じような効果を得られる動きについて、アドバイスができると良いでしょう。
- リハビリとしてトレーニングを行う人は、運動内容や運動量に留意して実施していくことが大切です。
肢体不自由とスポーツ ~立位~
肢体不自由とスポーツ ~車いす使用者~
知的障害者の場合:
「やりたいこと、できることをやってみましょう」
- 利用者本人の理解力や運動の好き嫌いなどを確認しながら、まずはやってみたいものから始めていくと良いでしょう。
- 減量や筋力アップなど、目的にあったトレーニング方法を提供していくと良いでしょう。
- まずは環境に慣れてから、実施するトレーニングの理解を進めるようにしていくと効果的です。
知的障害とスポーツ
内部障害者の場合:
「体調管理・運動方法を確認しましょう」
- 医師の許可のもと、運動強度や時間などを調整しながら実施できているか確認しましょう。
- 筋力トレーニングの場合は、血圧などの確認も重要です。事前に運動の特性などを説明しておきましょう。
- いつでも血圧を測定できるように、体育館やジムの近くに血圧測定器を置いて、自由に使えるようにしておきましょう。
内部障害とスポーツ

器具の周辺をテープで囲うのは、視覚障害者が設置場所を認識できるようにする配慮
精神障害者の場合:
「投薬や体調を確認し、丁寧な説明で不安を解消しましょう」
- 投薬や運動量、休憩をとっているかなどを確認していくようにしましょう。無理のない程度の運動を、継続的に実施できるようなアドバイスができると良いでしょう。
- ルールや器具の使用方法などをゆっくりと丁寧に説明し、新しい施設を使用する不安などが解消できるような配慮が重要です。
精神障害とスポーツ
施設での工夫
自作の杖置きを工夫
視覚障害者や肢体不自由者がマシンを使う場合、杖を置く場所が必要となります。専用の器具でなくても、ダンボールやスポンジを使って自作することも可能です。
●【 埼玉県障害者交流センター】
ダンボールとテープで職員が杖置きを自作しています。
マシン後ろの壁に自作の杖置き(杖掛け)を設置
(左:埼玉県障害者交流センター 右:東京都障害者総合スポーツセンター)
プラスアルファで器具を使用しやすく
障害の部位や程度によっては、一般のトレーニングマシンをそのまま利用することが難しい場合もあります。ちょっとした器具や用具を追加することで使いやすくなりますので、利用者の声を聞きながら工夫してください。

乗り移りを楽にする踏み台

握力が弱い人のサポートとなる、ウレタン製の補助グローブ

ランニングマシンの手すりに伴走者をイメージしたロープ

レッグプレスに、取り外し式の足置き台を設置して脚力をサポート

座りながら、寝ながらストレッチを楽に行うことができる高さのあるストレッチ台(目黒区民センター体育館)

片手でもストレッチがしやすくなる
紐をつけたタオル
(京都市障害者スポーツセンター)
事前ヒアリングで安全な利用を
マシンを使う前には、障害者に限らずすべての利用者に対して使用方法を説明すると思いますが、障害者が利用する際は、障害の程度を事前にヒアリングし、できること・できないことをトレーナーが判断する必要があります。
●【練馬区立光が丘体育館】
これまで、問い合わせや来所の時点で、初めての利用者をお断りしたことはありません。ペースメーカーの使用など、障害の状況によってトレーナーがトレーニングマシンの使用の可否を判断し、利用を制限することはあります。また、トレーニング室には、月に2、3回、外部の医師が来るため、利用者は施設のトレーナー、医師の両方から、運動について意見を仰ぐことができるようにしています。